家庭でできるソーシャルスキルトレーニング(SST)②

2021年11月16日

ストレスの影響を知っておく

ソーシャルスキルが育ってきている子でも、もともと苦手な集団行動に参加すればストレスを感じます。無理をすると身体症状が出たり、二次障害につながることもあります。親子で、ストレスの影響を知っておきましょう。

まず、子どもはどんなときにストレスを感じ、ストレスがたまるとどんな症状がでるのか親が把握することから始めます。人によって症状は異なります。お腹が痛くなる、頭が痛くなる、気分がすぐれない、食欲が落ちる等、出やすい症状がある場合は、子どもにも話をして共通理解が持てると安心です。症状は身体症状だけでなく、体の一部が動くチック、抑うつや不安、睡眠異常、会話や活動のテンポの変化に現れる場合もあります。

なぜ「知る」ことが大切なのか

自閉スペクトラム症の子は会話や対人行動がかみ合わないことから、失敗体験を繰り返してしまう場合が多く、ストレスを受ける場面が多いです。本人が困っていないので、体調に不調があってもそれを自覚できていない場合が往々にあります。明らかに調子がよくなさそうなのに、「大丈夫?」と声をかけても「大丈夫」と返ってくることも。自分を客観的にみることが苦手なので、ストレスやその身体症状に気づかないこと、また気づけてもその原因が自分ではなかなか分かりません。ストレスの影響を長期に渡って受けると、不登校などの二次的な問題につながる可能性があります。

自分の限界を知り、無理をしないで生活をする

自分の体調やストレスに意識することで、自己管理のスキルが育ちます。本人が自分のストレスのもとやそれは心身に影響していること認識し、解消手段を少しずつ理解することで、自己理解が深まり、自分の限界を知ることで無理をしなくなります。また、ストレスをためこまないために、体調の変化を意識する大切さも分かってくるでしょう。

時には休息も必要です。人間に多少のストレスは必要かもしれませんが、ただ無理をして我慢をすればいいというものではありません。休む勇気、休ませる勇気、明日以降も続いたりしないかなどの不安もあるでしょう。親子でストレスと向き合い、上手に付き合っていけるといいですね。

※参考文献 自閉症スペクトラムの子のソーシャルスキルを育てる本 思春期編 / 監修 本田 秀夫