話を切り上げる

2021年11月16日

好きなことを語りすぎる

自閉スペクトラム症の子は友達や家族と自分の好きなことの話をするのがうれしくて語りすぎてしまうことがあります。我が家の息子も例外にもれず、大好きな恐竜の話を始めると止まりません。自分の好きな事となると、自分のペースを優先さえ、言動が一方的になることがあります。好きな事だからこそ、過度のこだわりが出るのです。話が長くなっていて、相手がうんざりしていても、相手の気持ちに気づくことはなかなか難しいです。

話を切り上げる

際限なく話続けることを防ぐために、時間制限を設けるのは1つの手段です。終わりの時間を知らせ、「何時になったらおしまいにしようね」と伝えて、子供の話をその間は(我慢して)聞きましょう。時間になったら話す側を交代するか、一度切り上げて親はその場を離れたりします。ただし、切り上げてばかりだと、子どもは話を聞いてくれないと不満がたまります。その場合には、「続きはあとで聞かせてね」と伝えて、また話をすることができることを示しましょう。話をする聞く時間を一日の中であらかじめ決めておくのもよいでしょう。

話を切り上げる体験を積むことで、短時間で切り上げるということが身についたり、切り替えの練習にもなります。話すことが大好きな子どもにとっては、すぐに切り上げられるようになるのは難しいかもしれませんが、これも一歩ずつ、少しずつ経験を積んでいけるといいですね。

社交性やコミュニケーション力がある!

多弁はしゃべりすぎる、話がとまらないと短所になりがちですが、視点を変えて、特性を社交性やコミュニケーション力がある!と長所へと変化することができれば、みなハッピーですね!

場の空気を読まずに一人でしゃべり続けたり、余計なことを言ってしまうとお友達に嫌がられたり、避けられる可能性があります。人の外見に関することなど、人に言ってはいけないことはしっかりと教えて、覚えさせてることは必要かもしれません。自分自身で、言ってはいけない状況や場所をコントロールできるようになると、優れたコミュニケーション力を発揮することができます。

また、知らない人でも誰に対しても話しかけてしまうという特性も、初対面の人、具合が悪そうな人、外国人、高齢者など、多くの人が話しかけるのに躊躇してしまう相手でもすぐに話しかけることができるというのは長所といえると思います。具合が悪そうな人に話しかけることができたときや、困っている人に対応することができたときなどはぜひほめてあげてください。

ついしゃべりすぎて余計なことを言ってしまいがちなお子さんも、実はおもしろい話題を提供したり、場を和ませるムードメーカー的な要素を持っていることが多いです。なかなか勇気のいることかもしれませんが、お祭りやイベントなど人が集まる場所に出かけていくことで、持ち前の行動力や社交性が発揮できるかもしれません。

親はそっと見守ることしかできないかもしれません。でも言ってはいけないことを教えたり、一方的な話でも聞いてあげることで、自分の話を聞いてくれているという自己肯定感を高める事ができます。いつも時間がある訳ではないでしょうし、心の余裕がないときもあります。親も人間ですから、対応できるときだけで十分。完璧でなくても、しっかりお子さんには愛情が伝わっていると信じています。

※参考文献 自閉症スペクトラムの子のソーシャルスキルを育てる本 思春期編 / 監修 本田 秀夫

※参考文献 発達障害の子どもが持っている長所に気づいて、伸ばす本 / 監修 宮尾 益知