発達障害の症状

2021年11月16日

発達障害とその併存症

発達障害は複合的に併存している傾向があり、診断名も複数付くことも珍しくありません。併存率に関する研究で、ADHDの約3分の1が学習障害(LD)を併存し、LDの30~50%がADHDを併存していると発表されています。また、自閉スペクトラム症もADHD、LDそれぞれ併存するケースも多いです。発達障害のある子どもは、ひとつの障害のみを抱えていることは少なく、むしろ他の障害と併存したり合併したりしやすいといえます。

ADHD

ADHD(注意欠陥多動性障害)の行動特性には、①不注意、②多動性、③衝動性、の3つの特徴があります。①の不注意型が最も多く、物忘れが多く注意散漫で、ボーっとしやすいのが特徴です。②の多動性は落ち着きがなく、おしゃべりが止まらなかったり、立ち歩きが止まらないのが特徴です。③衝動性は些細なことでカッとなりやすく、感情のブレーキが帰化に事が特徴です。乱暴な子と周囲から敬遠されることがあり、怒られやすいです。この3つの特徴はすべてあらわれることが8割異常ですが、部分的に現れることもあります。

ADHDを抱える子どもは本人が意図せず忘れ物が多かったり、授業へ集中できないなどから、学校での勉強面でのつまずきがおこりやすいです。また人間関係でもトラブルが起こりうやすいでしょう。怒られることも多く、自信がもてず、どうせわたしなんて・・・と悲観的になりやすいです。

自閉スペクトラム症

自閉スペクトラム症の特性は①コミュニケーション面での社会性障害、②強いこだわり、③感覚過敏という3.つがあります。特に対人関係、コミュニケーション面での困難さが目立ち、興味や活動のパターンか、こだわりもみられます。約7割でことばの遅れや、知的障害を伴いますが、3割は知的障害を伴わない為、自閉スペクトラム症の気づきが遅れることがあります。わたしもずっと他の事何か違うという違和感を感じながら長男を育てていましたが、周囲の「大丈夫!男の子なんてそんなものよ」の声で支援の窓口に繋がらないでいました。男の子は発語が遅いことが多い、3歳ぐらいまでうちの子もしゃべらなかったよ、等周囲の声が聞こえてくることがありますが、やはり親の違和感は大事だと思います。長男は3歳児検診の際、相談・診断へと繋がりました。

LDとは

学習障害(LD)とは、知的障害はないものの、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する能力のうち特定の習得と使用に著しい困難を示す状態とされています。LDの約8割がディスレクシア(読み書き障害)を抱えているといわれています。LDは日本特有のものですが、ディスクレシアは世界的に認められている障害です。読み書きも全てができない訳ではなく、正確さと流暢さにつまずきがあります。学校の授業でも、特定の教科や課題が苦手で、得意なことと不得意なことが併せ持つため、本人は一生懸命やっているとしても親や先生からさぼっただけ、やる気がないなどと叱責されて、学習への意欲がそがれてしまうケースもあります。診断においては小学校低学年では難しく、高学年または中学校にあがってから診断がつくことがあります。

二次障害と合併症

発達障害の特性により生じるトラブル、失敗経験により、親や周囲の人から怒られたり、否定されることを繰り返していくと、次第に自尊心が傷つけられ「どうせわたしなんか・・・」と自己肯定感の低い子どもへとなっていきます。そこから不安障害やうつといった状況になり、不登校や社会からの孤立という二次障害へと繋がっていくケースが多いです。

また、ADHD特有の合併症として、大人や社会に対する反抗心を高めていく反抗挑戦性障害や行為障害があります。反抗挑戦性障害とは、大人の指示にわざと無視をしたり逆らって挑発的な行動をとる障害です。神経過敏になりやすく、ささいなことでいらだったり、人のせいにしたりします。行為障害は反抗挑戦性障害がさらにエスカレートし、動物や人に残酷な行為をしたり、破壊行為・放火・窃盗等反社会的行為をするようになります。さらに薬物乱用や犯罪行為といった社会不適応に発展するケースもあります。

合併症は予防することができます。そのためには、まず周りの大人が発達障害に気づき、適切な支援を行うことが大切です。早期発見、早期療育です。そして発達障害を抱える子どもにとって、なによりも大切なのは環境と支援です。日常生活が安心して過ごせるようになっていくと、ストレスも軽減され、自己肯定感も高まっていきます。次第に困りごとにも対応できるようになっていき、自分の人生を切り開いていくことが可能です。

※参考文献 図解 発達障害の子どもたちをサポートする本 著者榊原洋一