家庭で出来るソーシャルスキルトレーニング(SST)①

2021年11月16日

親子で話し合う機会をつくる

人と意見を出し合うスキルを磨くため、親子で話し合う機会を作ってみましょう。 まずは子供の希望や意見を聞く事が大切です。

おやつを選ぶとき、週末に出かけるレジャー先を決めるときなどに、子供の希望や意見を聞くようにしてみましょう。ただ聞くだけでなく、家族で意見を出し合う機会も作りましょう。 このときポイントは子供が関心をもてるもので始めましょう。例えばジュースやお菓子、レジャー先などです。関心が持てると、子供は意欲的に意見を出すことができるかもしれません。

また、ただ意見を漠然と聞くだけでなく、親がある程度情報を整理することもポイントです。選択肢はなにか、実現可能かどうか、実現させるためのハードル等、子供に説明し、他の家族の意見を紙に書き出して整理すると話し合いが進むでしょう。視覚優位なお子さんは多く、視覚で選択肢が分かりやすいよう、写真やパンフレットを見せる等の工夫も役立ちます。

なぜ話し合いが大切なのか

自閉スペクトラム症の子は、意識しないと一方的な主張となりがちです。みんなで意見をまとめるという意識をもちにくく、自分が正しいと思う論理や自分の考えで説得しようとします。それは特性でもあり、人の意見への関心が低く、自分の考えや規則や事実を重視する傾向が影響している可能性があります。また人の考えを読み取ることは難しく、遠回しの言い方を読み取ることが難しく、言葉通りに理解をしてしまうこともあります。そして耳から入る情報を整理することが苦手は子が多く、話し合いがかみ合わず、本人もそして相手も嫌な気持ちになりうまくいかないという失敗体験となる傾向があります。

そこで話し合いに参加するというスキルは重要になってきます。ほかの人と考えが違うということを理解し、時には折り合いをつけることができれば、話し合いに参加できます。そのための第一歩として、家庭でまずは意見を出し合うこと、そして意見の違いを比べる経験をしてみましょう。そうすることで人の話に注意を向けるというスキルや、相手にも意見があるということを知り、必ずしも自分の考えた通りにならなくてもよいと思えるようになり、適度な主張ができるようになっていくでしょう。

これも一度やれば明日からできるようになるというような即効性のあるものではありません。ほんの小さなステップから、すこしずつ試してみましょう。初めはうまくいかなくて当たり前。一歩でも踏み出せた自分を褒めてくださいね。

※参考文献 自閉症スペクトラムの子のソーシャルスキルを育てる本 思春期編 / 監修 本田 秀夫