発達障害とは?

2021年11月16日

どんな種類があるか

少し古いですが、2012年に文部科学省が行った調査で、全国の小中学校に発達障害の疑いのある子どもが6.5%、人数では67万人いるとされています。だいたい40人学級で2~3人ずつ疑いの子がいる計算になります。

発達障害には主に3つの分類があります。①ADHD(注意欠陥多動性障害):多動性、衝動性が強い②自閉スペクトラム症:対人関係、コミュニケーション面での難しさ、こだわりなどが強い③学習障害(LD):読む、書く、計算するなどの学習面での難しさ 大きく分けると3つで、それに知的な遅れを伴う場合もあります。現在は自閉スペクトラム症の中にADHDも含まれていて、一連の発達の中で遅れがあるとの考えが主流です。障害の名前だけを聞くと、やはり仰々しく引いてしまうかもしれませんが、程度が違えど人間多かれ少なかれ持ち合わせている性質だと思います。ただその程度が人よりやや大きく、生活の中で困難さを感じ、合理的な配慮が必要な状態というのが発達障害です。

発達障害は治る?

発達障害は生まれつきの脳機能の障害で、先天的なものです。妊娠中の影響や親の育て方、生活環境が原因で発症するものではありません。親のせいではないと言われてほっとする反面、あなたのせいですよと言われたほうが楽なのにな、と考えたことがあります。しかしこれは子どもの個性、性格の一部として受け入れるしかないようです。

原因となっている脳機能障害そのものは現在の医療では治すことはできません。しかし、どんなときに困っているのか把握し、適切な行動のとり方を練習し覚えて、日常生活の中で必要な生活スキルを身につけていくことで、つまずきを解消していくことができます。発達障害と共存し、うまく付き合っていくことが大切です。人と円滑にコミュニケーションをとる為のスキルは特に大切です。そのためのトレーニングをソーシャルスキルトレーニング(SST)と呼びます。当サイトではとくにSSTについて紹介し、ご家庭でできる療育の一環として少しでも参考にしていただければ幸いです。

発達障害とは実行機能の障害

「何かを実行するために必要な機能」のことを「実行機能」といいます。発達障害はこの実行機能の障害と言われています。実行機能の障害は「障害」と気づかれにくい特徴があります。うっかり忘れてしまったり、集中して取り組みことが難しい場合等、障害によって引き起こされている状況を、怠けているだけと勘違いをされたり、叱責、否定の機会となることが往々にしております。特に知的障害を伴わない場合は、日常生活で目立った問題を感じないことが多く、「ふつうの子」と変わらないのです。

例えば宿題をするということを実行する為には、宿題があることを覚えておく、宿題をするためにゲームや漫画を我慢すること、最後まで終わらせる集中力等、複数の実行機能が必要です。スモールステップとはよく言いますが、宿題をするだけでも、発達障害を抱えている子どもにとってはたくさんのハードルがあるのです。

障害のある子の発達

2の発達障害は治る?で前述したように、脳の機能障害である発達障害は現在の医療では治すことはできません。しかし療育や親を含めた周囲の適切な働きかけにより、行動特性を改善することができます。発達障害のある子どもも、必ず発達します、成長します。同じ年齢のお友達より少しゆっくりだったり、偏っているだけです。子どもにはたくさんの潜在能力があります。特に自閉スペクトラム症のお子さんには驚異的な能力をもっている場合があることが分かっています。不適切な行動を少しでも減らし、適切な環境を用意し、支援を行うことで潜在能力を引き出していきましょう。

周りと比べてしまう気持ちは本当によくわかります。なんでうちの子だけ・・・とどれだけ感じてきたでしょう。でもマイナススタートだからこそ、ささいなことでも(おそらく定型発達の子では当たり前のことでも)できるようになっていく喜びは人一倍多いです。子どもの成長に感動する機会をたくさんもらえたと思えると幸せですね。

※参考文献 最新図解 発達障害の子どもたちをサポートする本 著者榊原洋一